第6回 2003年利き鮎会

水内川の鮎 in 利き鮎会

城西館      一次審査風景

利き鮎会会場風景


 平成15年の鮎漁は、全国的に不漁でした。天然遡上が壊滅的で、良かった河川も一部有りましたが、ほとんどの河川に於いて、例年の三分の一以下という状態でした。
 そのような状態で利き鮎会に出す鮎を地元広島県の湯来町を流れる水内川(ミノチガワ)にしました。平成13年に一度出したのですが、残念ながら決勝に上ることが出来ませんでした。
今年こそは、と思っていたのですが、降り続く雨で土日の休日には、高水で釣りになりません。もっとも良い状態の鮎を出したいので、7月の平日に二度釣りに行きました。その日は、平水より20cm~30cm高水でした。
太陽光が降り注ぐ日が何日か続き、石に新アカが付き、香りの良い鮎が取れると確信した日です。
 湯来町には、湯来温泉と言ってとても良い湯の出る温泉場があります。名物と言って、すぐ頭に浮かぶものは、コンニャクの刺身です。山フグとも呼ばれています。他になんといって名物らしきものはありませんでした。
広島の鮎師は、昔からここの鮎は、美味いので自家用として掛けた鮎は、持ち帰っていました。
温泉場には、数件の旅館がありますが、地物の鮎を出しません。頼めばといった具合で、旅館も地元の鮎の価値意識は、まったくと言ってありません。実にもったいない話です。
 さて、平日の鮎釣りと言っても最近は、若い人も多く釣りに来ています。ただ、瀬釣りをする方は少なく、泳がせ釣りの鮎師が多く、瀬が開いています。瀬の鮎が釣り味も良く味も美味しい鮎なのに、不思議な現象です。
その日の釣り場は、温泉場より上流に向かいました。新しい橋の上下を倉本さんと二人で攻めました。瀬釣りは、勝負は早くつきます。ただ、取り込みが難しいのと、瀬の中にいかに沈めるかです。今年は、新兵器が役に立ちました。
新兵器は、シマノAYU SX支流 H2.75 72-81(ZD)(48500円)です。90cmズームが川幅に鋭く対応しているので、上に木があるときに9mなら天井糸が引っかかるのですが、この竿なら大丈夫です。又、瀬釣りにも向いていて、スーと鮎が瀬の中に入ってくれます。鮎が掛かっても竿が短いのでぶれずに早く鮎が浮いてきます。9.5mのH2.75よりも早く浮いてきます。
私のこの竿を使っての釣りを見て、二人のメンバーが竿を買ったくらいです。さて、釣果は、二人で40匹近く掛けたのですがサイズを18から19センチと決めていましたので数が足りませんでした。実は、20センチを超える良い鮎が沢山掛かりサイズオーバーが多かったのです。利き鮎会用鮎20匹を選んで湯来町の清水君のイケスに入れました。
次に三角テスターと翌週平日に入りました。今回もまた、高水です。釣り場を前回と同じポイントから始め3ヶ所場所交代し二人で60匹近く掛けました。その内の30匹をイケスに入れて帰りました。
 湯来町の清水さんの奥さんには、今回大変にお世話になりました。イケスに入れた翌日に鮎を冷水でしめて貰いパックギョ(専用ビニール袋)に一匹づづ入れて冷凍庫に入れてもらいました。背びれも尾びれも綺麗に伸ばしてもらい見た目も綺麗にしてもらいました。
 10日位して50匹の鮎を取りに行くと「腹掛かりの鮎は、交換しました」と、ますます頭が下がりました。ここまでしてもらった鮎なので今回は是非、予選に残ってほしかったです。
 9月5日(金)利き鮎会に参加する途中、津山市の岡山水産試験場で冷水病ワクチンの話を聞いて、高知に車で行きました。会場のホテル城西館は、歴史のある立派なホテルで、会場に入ると鮎の香ばしい香りが漂ってきます。まず一時審査は、八テーブルに分かれて行い、一テーブル5から6河川の鮎を食べてその皿に付いた番号を投票用紙に書き込み投票箱に入れます。
 広島県水内川と準グランプリの発表を聞いたときは、思わずガッツポーズが出ました。準グランプリ8河川の中からグランプリを選ぶ決勝では、残念ながら四万十川上流支流の松葉川になりましたが、次回は、グランプリを狙います。そのためには、地域と組合にも協力してもらう必要があります。

二次審査 8皿の内の1番皿です。


行政と漁協へアプローチ
 湯来町の中島正子町長は、今年の地方選挙の際、母娘で同じ町長選挙を戦ったという事で一躍有名になった女性町長です。選挙の争点は、ゴミ処理場を町内に誘致し、広島市と合併したいと言う事です。ゴミ処理場の誘致に反対する娘を破っての再選でした。
ゴミ処理所=水質汚染=鮎の味の低下と冷水病の発生の発生源と私は、認識しているのですが・・・
 今回、湯来町の鮎を利き鮎会に出す事にした理由の一つは、私が25年前初めて友釣りを経験した川を紹介したかった。次に、選挙の争点になったゴミ処理場を誘致しても広島市との合併は、中々進まない、むしろ美味しい水を広島市民に供給する、河川の美化に努める事を条件に広島市と合併してほしいという思いからです。
 地元の清水君に準グランプリの認定書を渡す際に、町長と組合長に立ち会ってほしいのでコンタクトをとってほしいと頼みました。
結果、9月25日(木)午前11時に役場の2階の応接室でお会いすることになりました。
 当日打ち合わせ時間の10分前には、水内川漁協の久保政登組合長と組合幹部の方3名が待っておられました。鮎の話をしていると中島町長が吉村助役と共に入って来られました。町長よりこの度の件に関してのお礼の言葉を頂き誠に恐縮しました。(今回、手伝って頂いた方々ありがとうございました)
 まず、利き鮎会の仕組みと、根幹には、鮎を通しての自然の大切さを認識していくことが、有る事を説明ました。いかに、水内川の鮎が美味い鮎なのかと言う説明で、今まで、水内の鮎は美味しいと思っていた組合の方々も全国レベルでの利き鮎会で認められた事で認識が高まったと思います。

 美味しい鮎の理由
①水がミネラルを含む美味しい川 (木が豊富で保水力のある山)
②砂地の少ない川 (河川工事に行政・組合がしっかりとした意見が言える川)
③ツルツルしてゴミが溜まらない石 (青い石とか緑の色をした石など硬い石)
④流速が有る川 (山間部の勾配のある河川)
⑤鮎を大切に思う心 (組合の取り組み)
 今回、準グランプリに選ばれた事で、鮎を中心とした町おこしを考えては、という提案には、町も組合も大賛成のようでした。そこで、行政と組合にお願いをしました。

 湯来町へのお願い
①河川へのゴミの投げ込みや河川の脇でのゴミ焼却の禁止
②堰に溜まった砂の除去
③鮎を使った町おこしの提案 (名産づくり)
④大きな淵を何箇所か造ってほしい (鮎の寝床づくり)
⑤水を売り込んでほしい (広島市民が利用する水道水の元水へ)

 水内川漁協へのお願い
①友釣り専用区の設置 (8月初旬に組合員だけが出来る漁法で鮎がほとんど壊滅する)
 又は、その漁法をお盆前の数日(二・三日)に限り認め後は、禁止する。
②鮎の買い取り事業により天然鮎を食べさす旅館・食堂を増やす
 今、広島の鮎の買取は、大きさ別で1匹△□○円となっているのを㌔買(生5000円)にすると、持込が増えると思います。関東の市場でも水内川の鮎の価値は、高いのですから。大体、広島の鮎の買い取り価格が低すぎます。買い取り価格は何十年変わってないのに、鮎を掛ける数は、大幅に落ち込んでいる。草津市場に一匹800円で卸している話も聞きました。儲け過ぎると返って数が減り、総売上が落ち込むと思うのですが。(全国的に言って広島の鮎の買い取り価格は、安すぎます)
③①により漁期が伸びるので鮎のウルカや干物など地元特産品を作る
 鮎は、捨てるところが無い魚です。この地域の鮎は、落ち鮎になっても河口近くまで下りることが難しい河川なので、9月の落ち鮎になる頃に観光簗を設けて鮎を取れば湯来町に来られる方が多くなると思うし、雇用の場が広がります。
④組合員個々の利害に目をつぶり地域活性化の為に努力してもらう
 鮎を獲りたい気持ちも分かります。しかし、漁期が伸びることで組合員自身も楽しむ期間が長くなるのですから是非協力してもらいたい
  最後に、中島町長から「これだけ貴重な提案を頂いたわけですから1つでも実行できるよう頑張りましょう」というお話しを聞き、心からお願いしますと思いました。
 
 来年度に向けて新たな取り組みに期待します。

次回は、グランプリ獲得で町おこしを盛り上げましょう

今回ご協力していただいた、マルト清流会の倉本さん、三角さん、湯来町の清水さんご夫妻ありがとうございました。