第14回 釣好き親父のぼやき

 

 正月には、凧揚げて駒を回して遊びましょう。・・・早く来い来いと歌われたのは大昔ではありません。
つい最近までは、正月に車にもお飾りを付けていました。今は殆んど見受けられなくなりました。
 若者も、腕時計をしていません。携帯に時計機能があるので必要ないとの事。又、カメラも、手帳も最近では、ウォークマンで音楽を聴いていたものまで、携帯電話に機能が付いていてそれを若者はしっかり使いこなしています。今では、財布代わりの機能まであるという。

携帯不況と言われて久しいが、ITが進めば進むほど便利になりその分、今まで必要だったものが要らなくなる。
文明は、未来永劫に続いていないのだから、変化や滅亡も当然といえば当然のことであります。

 釣りも、過去の最高売上から見ると半減近く落ち込んでいます。不況に強い、本屋と釣具屋と言われていたのも、過去の話。

 戦後、苦しい生活を経験し、やっと普段の生活ができる頃からレジャーと言われる言葉が出始めました。その頃からどんどんと釣具店も増えてきました。
最初は、釣り好きな旦那さんの奥さんが店を初め、旦那さんは安く道具を買う事ができ、奥方もその頃は、釣具は定価販売が普通で、利益のある商売としてホクホクの状態でした。
 店の開店時は品ぞろいも、そんなに品数が無かったせいで、初期投資が少なくて良かったのも多くの釣具店が増えた要因でもあります。

 駄菓子屋タイプの釣具店から変化したのは、釣り好きの旦那さんが本格的に釣具店をやり始めた事で始まりました。
玄関を改造し間口から奥行き2間位の店から本格的な店構えに移った頃、商売の勝ち負けが始まりました。
一店だけでなく多店舗経営を目指して大きく売上が伸び、地域の釣具店から全国チェーンの店まで出来ました。
 お店が増えていくと同時に、メーカーも増えました。当初は、ハリ、糸、竿、オモリ、ウキがメインでした。釣りに行く時のスタイルは汚れても良い服で充分だったので釣り服も安く、一般の作業着としても売れていました。
 しかし、釣り服も流行や高級化で高額商品ばかり増えて安い服を置かなくなりました。今は、作業服専門店がその分野を受け継いで結構売上を伸ばしております。

 昔の釣具店は、夢が有りました。あれこれと良いのか悪いのか判らず使ってみて判断する。だめなら家の倉庫行きでした。つまり、自分で色々と仕掛けを作って楽しんでいたのです。今は、完全に出来上がった仕掛けの数ばかり増えてじっくりと考えて店内を散策する事が出来ないと思います。

釣りは
1.道具を揃えて、仕掛けを造り、エサを買って用意する楽しみ
2.釣り場で思ったように対象魚を釣り上げる楽しみ
3.自宅に帰って釣り上げた話をしながら食べる楽しみ
4.釣り仲間とその時の釣り談義をする楽しみ
等等が釣りに行く楽しみの理由だと思います。
 今、何か抜けている気がしませんか。
何がが抜けているから新たな釣り人が増えずに、お年寄りが老齢で釣りを止めて減っているのが実情なのではないでしょうか。

この何かは、
1.釣りの説明できない店員
2.道具の高額化
3.釣り技術の向上により初心者には、困難な仕掛けや釣り方になってきた

 このままでは、10年先には、何人釣り人が残るのか又、新たに増えるのか、不安なのは私だけでしょうか。
釣りという文化も過去のものとなるのか、それとも未来永劫永遠に続くものなのか。
行政は、やっと非漁民(釣り人のの表現方法)から遊漁者として認知してくれ、水産省に専門の釣り人課も新設されました。
2004年末にやっと行政からも釣り人が認められたのです。

 しかし、ここ数年前から年賀状が宛先不明として帰ってきます。殆んどが廃業して宛先不明となったものです。毎年増えてきたのが、今年は、少し減りました。行き着くところまできたのかもしれません。

 大型店は、品揃いでお客を呼び込めます。普通の釣具店では、店主の個性と釣り技術でお客を呼び込んでいます。
今は、単価の安売りでどんどん伸びている店は数少なくなっています。値段で勝負の時代も時代遅れになりつつあるのでしょう。
 郊外の大きなショッピングセンターに行って色々見ていると、私自身あれもこれも欲しくなります。今の釣具店では、そのような感触になりません。なぜなら品数が余りにも少な過ぎるのです。名前だけで売れそうなものや、利益率に走って品数を減らすと必ず自然と客が減ります。
お客が沢山来て物が売れてからの利益ではないでしょうか。客が品物を選別できない店には、私自身行きたくなくなります。

原因として
1.仕入れの一元化で、現地の事情を無視
2.店員の釣り知識の欠如
3.反対に釣り知識が豊富で自分が売れ筋(使用)商品を選別
4.大メーカーが釣具店の棚を占領、他メーカーの品物不足による狭い選択範囲

では、どうしたら良いのか
1.魚を釣れる様に増やす
2.釣り人を増やす
3.店の品物を増やす
4.店員教育を徹底する
5.釣り大会よりも釣り教室を増やす

 以上の中でも何よりも釣り人の底辺を増やす事が第一です。今の小学校教育の中で釣りを理解してもらいプールの有効利用としてニジマス等の飼育(理科)と、釣り(体験学習)、魚料理(家庭科)を取り入れてもらい、誰でも一度は、竿を握って魚を釣り上げた感触を経験させる事。この事が、将来釣り人口の減少カーブを緩やかにする事ではないでしょうか。

 とある記録
96年2136億 97年2156億 98年2070億 99年1857億 00年1666億 01年1538億 02年1449億 03年1331億
04年1233億の予想

別の記録
96年108億  97年123億  98年104億  99年111億  00年100億  01年97億  02年103億  03年88億
04年83億の予想

とある記録は9年で43%ダウンです。  別の記録は9年で24%ダウンです。

この数字が何か想像してみてください。