第12回 2004年の鮎総決算

 2004年の夏は
異常に暑い日が続きました。おかげで冷水病発生危険温度域18度~22度をあっと言う間に通り過ごし、病気が発生しても頑張って復活した鮎が多かったのです。
 又、各地の漁協の取り組みも段々と良くなって、放流時期を遅くしたり、結構大きい鮎を放流したり、また、琵琶湖産をまったく放流しなかったりした事も、相乗効果を生じたと思います。

 広島の川を例に取りますと
太田川の鮎放流は全て海産系になったということです。当初水が高く、元気の良い海産鮎は上流へ上流へと昇っていき、上流域の加計町辺りでは、爆釣に次ぐ、爆釣となりました。背びれの長い大きい鮎が沢山掛かりました。解禁から22センチクラスの入り掛かりが続いたものですから、広島のみならず、近郊の鮎師がこぞって太田川詣でをしておりました。

 6月20日頃になると
やや冷水病が出始め、掛かり難くなりました。原因は、水温の上昇とその上流の支流で吉和川が、今期琵琶湖産の鮎を放流して全滅となった影響が下の加計にも広がった可能性も有ります。
又、太田川の支流で昨年良かった水内川も今年は、冷水病が出て随分鮎が流れていました。
昨年と同じ鮎なのにと思われるでしょうが、水量の違いによる水温変化が昨年とは、随分違います。昨年は、雨が多く、水量も常時30㎝以上高く、鮎も大きく育っていました。今年は、水量も少なく解禁日は、午前中で30匹掛かりましたが、午後からはさっぱりでした。翌日からも昨年と違って鮎が少ないなどの話を耳にしました。鮎も元気なく流れて下っているのも確認していますので、冷水病が発生したのは確実です。

 しかし、水内川は
水が良いので幾分か救われます。全滅まで行かなかったのは、単に水が綺麗であったということです。栄養のある水は、鮎にとっては気持ちの良い保養施設のようなものです。劣悪な環境では、病気は、治らず悪化します。

 吉和川も
昔は、素晴らしい川でした。支流の沢が大水で氾濫し沢を崩し土砂を吉和川に流してから、最悪の川になりました。砂が舞う流れでは、コケも良い状態で育ちません。エサも無い川では、病気の鮎(琵琶湖産)は、無理です。琵琶湖産を放流した事を聞いたときは、耳を疑いました。ダメだろうなと思っておりましたら、事実になり、下の川まで影響した可能性まであり、残念でたまりません。

 全国をみると
全般的に日本海側がほぼ全滅に近い状態で、太平洋側が久しぶりに良い状態でした。しかし、伊豆半島を中心として駿河湾と相模湾で鮎の遡上が大きく違ったのは、暖流の関係があります。
今年鮎が遡上しなかった河川は、暖流が生まれてきた稚鮎を全滅させた可能性があります。また産卵時に雨が無く、河口近くまで鮎が下降せず、上流域で産卵した可能性もあります。2日で海まで下らないと稚鮎は生きていけません。また、水温が低くないと稚鮎は、死んでしまいます。この条件が日本海側に当てはまっているのでは、と思います。

 富山の越前クラゲが
原因でプランクトンを沢山食べて、稚鮎のエサが不足して育たなかったと言うような話まででていますが。海のプランクトンを食いつかすまでクラゲが影響したとは、思えません。産卵時の海水温度のデーターと鮎の遡上のデーターを比較したものがあれば実証できるのでは、と思います。

 四万十川
他の河川は、良いのに今年ダメだった理由は、毎年下流域で行われる落ち鮎漁(正月の雑煮用にダシとして使う為)が取り過ぎで産卵場をだめにしたと言われています。まったくその通りです。産卵場はネットを張って、全面禁漁にしないと自然に鮎は、湧いてきません。今年から禁漁にした四万十川の組合の英断は、素晴らしいものです。
今年悪かった河川は、3年でも良いから、10月から禁漁にして、結果を見ていただきたい。山のように取れ始めたら、少しずつ開放すれば良いでは、ないでしょうか。

 鵜の被害
自然を壊し、天敵となるタカ等の猛禽類の数が激減しました。その為、川鵜が異常に繁殖し、各地の放流鮎や遡上鮎を食べつくす等、甚大な被害を与えています。鮎だけでなく、ハエ等の川魚まで食いつくしています。川に魚がいなくなれば、川は、死滅します。鳥の保護も無法図に保護していたら、本当に自然を崩壊してしまいます。今は、川鵜を退治するにも県知事の許可を得なければ出来ません。保護鳥として保護されているからです。川鵜に関しては、保護鳥としての対応を早急にやめて頂きたい。

 退治方法
猟友会に頼むしかないのですが、これ以上増えないようにする努力は出来ると思います。まず、巣の卵を取り除く方法、これは、偽の卵と交換しないとすぐに卵を産むそうです。後は、よく来るポイントに5号ナイロン糸を10m間隔で張る方法があります。又、花火で追い出す方法も有りますがいずれも根本対策にはなりません。只、他河川に移動させるだけの事になるからです。猟友会に頼んでも市街地では、発砲も出来ません。何か良い手立てを考えて早急に実行しないと、鮎釣りが出来なくなる恐れもあります。

 来年の鮎予想
来年は、かなりの河川が復活します。数多く来た大型台風で山が崩れて災害復旧の工事が原因の濁り水が出ています。しかし、台風以後もかなり強い雨が降り、河川の泥を流してくれています。その為、川の石は久々に綺麗になっております。
稚鮎が遡上する頃は、良いコケが沢山ついているはずです。エサが豊富なら鮎もストレスを跳ね除けるパワーを持ちます。たとえ一時冷水病が発生しても回復する力が必ず備わります。期待してください。